第2回
人との会話があまり得意じゃないんですが・・・。

奈良県在住：21歳・女性／派遣歴1年半

• うーん。私もそうだったけどやっぱり新しい職場って緊張するよね。
• 何せ初出社の時のあいは、春の遠足の時に間違えてお父さんの日の丸弁当持って来てしまって、仕方なくコソコソ隠しながら食べている子供みたいにオドオドしてたもんね・・・。
• そうそう。「ちょっとお母さーん！」・・・って、これじゃ前回と同じじゃない！
• そう言えば派遣会社の人から聞いたことがあるんだけど、新しい環境に馴染めるかどうかを気にする人はやっぱり多いみたいだよ。
• それはみんなそうですよね。僕も初出社の時はホント悩みました。で、「どんな話をしたら、会社に早く馴染めるのかな」と考えて、まずは自己紹介をあーしよう、こうしようと練ってました。
• シンジくんは初日からひときわ元気で積極的だったよね。
  話をするにしてもまっすぐ目を見つめていたし、会話中もウンウンとうなずいていたから、すぐにみんなと打ち解けることができた感じだったよね。
• 僕は元気が取り柄だと思ってますから！
• あんたはいいわね、お気軽そうで。
  今はそうでもないけど、私は人と会話をするのが苦手だったのよ。だから新しい派遣先に行くたびに不安でいっぱいだったのよね。
• そうだったんですか。そう言えばはじめてサチさんに会った時、話しかけてもすごい難しい顔をしてたから、僕もどう話を続けたらいいか悩んだ記憶があります。
• あれは前日にスキーではしゃぎ過ぎて、筋肉痛で大変だったからよ。
• ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
• わわっ、カカシさん、いつの間にそんな所に！
  どうしたの？ずっと黙り込んじゃっているけど。
• ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鳴かぬカラスは捕まらぬ。
• な、何ですか、それ？
• うーん。ここまでの話の流れから考えると、カカシくんが言いたいのは「黙ってたら何を考えているのか掴みどころが無い。だから思いを伝える、ということは大切なんだよ」ということなのかな？
• ・・・いいや。知らない間にカラスが畑に舞い降りて、無言のままに荒らしていったことにガッカリしているだけさ。
• そうそう。昔、ある上司が同じようなことを言ってたわ。「鳴かぬヒナ鳥は捕まらぬ」と。ヒナ鳥は鳴かなかったら外敵に捕まることはないのを知っている。でも親鳥に気持ちを伝えるために危険を犯してでも声を出して鳴くんだ。だから結果を怖がらずに、勇気をもって心を開いてごらん」ってね。それ以来、素直に職場に馴染めるようになって、仕事にも集中できるようになったのよ。
• いい上司ですね。私も最初は緊張して自分から話しかけられなかったけど、サチさまがちゃんと面倒を見てくれたおかげで会社に早く馴染めたんですよ。ホント、ありがとうございます！
• あと、私がその上司に教えてもらったのは「会話のイントロ」という話。「会話のイントロは天気の話でも、最近見た映画の話でも、何気ない普通の話でいいんだ。例えば初めていく美容室でも合コンでも「今日は暑いですね」なんて会話から始まり、それをきっかけに自然と話が広がっていくでしょ」ってね。
• そうそう、「コミュニケーションの“きっかけ”を作る」というのはポイントだね。人との会話が上手な人は、まず最初に何らかのきっかけ話から入って、後は「話す、聞く、質問する」を使いこなしながら会話を膨らましていることが多いからね。
• “きっかけ”と言えば、私が近所のおばさんと仲良くなったのは、うちの子どもに対する「飴ちゃん食べる？」だったわ・・・。
  会話が苦手ならそんなきっかけからでもいいのかも。
• そうね。ヨシコさんは派遣された初日、なすび持って社内を配り回ってたものね・・・。
  ――あっ、シンジくん。あんたケータイ鳴ってるわよ。
• ス、スミマセン、メールでした。エリクソン部長からです。
  『日本には古来から「言霊」という言葉があります。“自分はこんな人間だ”と思い込んだらその通りの行動をします。「自分は話をするのが苦手」と思い込んでいませんか？友達と普通に話ができるのなら、きっと考え方ひとつで解決できますよ』とのことです！
• さすがエリクソン部長ですね！
• タ、タケシめ、良いことを言うなぁ・・・。
  しかし、なんでこの会話が分かったんだろう？ま、まさか、と、盗ちょ・・・
• だってそこのテレビ電話、電源入りっぱなしだもの。

• 大切なのは"きっかけ"づくり。勇気を振り絞る、のではなく自然体のあなたで接してみよう。

  どんな人だって、新しい職場環境には多少なりとも緊張するものです。
  あまり最初から気負ったりせずに、等身大の自分を伝えることを前向きに考えてみましょう。

  会話があまり得意ではない、という人は、まず最初に話をするための“きっかけ”を考えてみては？新しい職場の人たちも「今度来る人って、どんな人なのかな？」と興味を持ってくれています。「こんにちは。よろしくお願いします」という挨拶からでも「前は何をしてたの？」という風に会話も広がりやすい環境ですから、心を開いて流れのままに会話を広げることを意識してみるといいですね。あなたの友人たちと最初に出会ったときも、きっとそんな会話からスタートしているはずですよ。

  また、仕事に不安を感じているのなら、最初はいろいろな事を訊ねてみるといいでしょう。仕事の職種経験があっても無くても、職場によって仕事の進め方、考え方は違いますから気兼ねをすることはありません。ただし「何でもとりあえず聞く」のではなく、仕事に関する最低限の一般知識は事前に勉強しておきたいところです。

  大切なのは「人と人との関係は、コミュニケーションで成り立っている」ということ。まずは相手の目を見て、心を開いて「相手に関心を持つこと」を心掛けてみましょう。たとえ会話が苦手なあなただったとしても、「話を熱心に聞いてくれている、心を開いてくれている」という雰囲気が伝われば、どんな人だって好意を抱いてくれるし、自然と話も弾むはず。コミュニケーションの“きっかけ”を大切にしながら新しい職場環境に入っていけば、きっと楽しく充実した毎日が待っていることでしょう。

• 困ったとき、悩んでいる時はぜひ相談してみよう！

  パーソルエクセルＨＲパートナーズでは、派遣スタッフとして働く皆さまが健康な心とカラダでがんばることができるように、健康診断や「こころの健康相談」などのメンタルマネジメントを無料で受けていただけるサポートシステムを設けています。もしお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。